(1)-3)適度な水分量が大切
食品をのどに詰まらせてしまう大きな要因として、食品に含まれる水分量が少ないことがあげられます。水分の少ない食べ物を食べるときは、歯で噛み砕いて唾液を出し、咀嚼しながらペースト状にして咽頭に送り込みますが、咀嚼機能や嚥下機能が低下していると、噛み砕く、すりつぶす、唾液と食べ物をまぜるといった行為が困難になり、十分に食塊を作ることが難しくなります。
このような症状の方が、水分の少ない食べ物をそのまま食べようとすると、食べにくいだけでなく窒息を引き起こしかねません。そこで、食品や料理に水分を加えて調理します。たとえば、ふかしイモはスイートポテトに、パンはフレンチトーストやパン粥、パンプリンなどにします。
卵料理はゆで卵ではなくて、スクランブルエッグや半熟卵、ポーチドエッグ、温泉卵、オムレツなどに、焼き魚は煮魚や蒸し魚、水分の少ない料理にはあんをかけるなど工夫し、噛みやすく飲み込みやすい食事にします。
しかし、嚥下機能が低下してくると水分の多過ぎはかえって危険です。煮びたしの場合、煮汁が多すぎて煮汁の中に葉物がちらばり食塊としてまとまらず、煮汁で誤嚥してしまうことも考えられます。
お粥も全粥は問題ないのですが、7分粥、5分粥などは重湯の割合が多く米粒と分離しているため、誤嚥しやすいものです。つまり、適度な水分量を心がけることが重要です。
このように口の中でうまくまとめられるように料理に合わせて適度な水分量を調整することで、後でミキサーにかける必要が出てきた場合でも、加える水分量が少なくて済み、本来の味を活かして美しく仕上げることも可能です。